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終活映画★余命わずかな母と暮らす孤独な少年の話「怪物はささやく」

(C)2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.

「怪物はささやく」は、世界的なベストセラー小説を原作としたダークファンタジー映画です。原作は、イギリス児童文学の最高峰であるカーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞をダブル受賞するという、史上初の快挙を成し遂げています。

この作品はスペインとアメリカの合作なのですが、スペインのアカデミー賞と呼ばれているゴヤ賞を最多9部門も受賞しています。スペインでの2016年興行収入一位の作品ですので、面白さは折り紙付きと言えるでしょう。

今回は、子どもと一緒に見て楽しめる終活映画として、この作品をご紹介します。

 

あらすじ
イギリスの田舎町に住む12歳のコナーは、絵を描くのが大好きな内気な少年。彼は病に苦しむ母親と二人で暮らしているのですが、毎晩見る悪夢にうなされています。コナーの部屋の窓からは遠くに教会の墓地が見え、そこには大きなイチイの木が植えられています。

ある夜、そのイチイの木が怪物に変身して自分の部屋まで歩いてきて、恐ろしい顔をしてコナーに迫ります。「今からおまえに三つの物語を話す。三つの話が終わったら、四つ目をおまえが話せ」と。話なんて何も知らないと言うコナーに怪物はさらに続けます。「四つ目には、おまえの隠している真実を話せ。真実の悪夢の話をしろ」と。

悪夢の話をするのをかたくなに拒むコナーでしたが、怪物はたびたび現れて物語を話すようになります。怪物が三つの物語を話し終えたとき、起こることとは…。

MEMO

  • 終活映画とは、人生について考えさせられる終活の参考になるような映画のことです。
  • ここから先はネタバレが含まれていますので、まだ映画を見ていない方はご注意ください。


(C)2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.

コナーの母親はガンにかかっていて、家ではほとんど寝たきりの状態です。コナーの父親は離婚してから新しい家族と遠くに住んでいるので、コナーはいつもひとりぼっち。たまに訪ねてくるおばあちゃんともそりがあわずに、学校でもいじめられているので心安らぐ場所は部屋の中だけです。

そんなある夜、部屋の窓から見えるイチイの木が怪物になって部屋に来るのですが、コナーは母親のところに逃げるどころか「おまえなんか怖くない!」と一人で怪物を追い払おうとします。怪物は恐ろしい目でコナーを睨みつけますが、コナーは母親には何も言わずに戦おうとするのです。

コナーにとってこの世で一番恐ろしいものは怪物でもたちの悪い同級生でもなく、母親の「死」なのでしょう。病気の母親に負担をかけるようなことはしたくないので、普通の子どものように「怖いことがあったら親に助けてもらう」という気持ちにはなれないのです。

終活を始めて人生の終わりについて考えたとき、一番気にかかるのは「子どもの未来」という方は多いですよね。たとえ子どもが成人していても、何かにつまずいたときには助け船を出してやりたいと…親はいつまでも思ってしまうものですから。

この作品は、親の死期が近づいている子どもが過酷な現実にどのように立ち向かうかをテーマにした終活映画として見ることもできます。大人ですら辛くて耐えがたい身内の死に対して、12歳の少年はどう応えるのでしょうか。

勧善懲悪でない三つの物語

怪物による三つの物語は、絵本のような美しい映像によって語られます。長い話もあるのですが、ここでは要点だけお伝えしましょう。

一つ目は、善人と思われた人物が実は悪人だったが、悪事がバレずに末永く幸せに暮らしたという物語。怪物は、そもそも世の中には善人と悪人が必ずいるわけではなく、たいていはその中間の人間ばかりだと言います。後味の悪い話なのでコナーは納得しませんが、世の中はそんなものだと大人ならわかりますよね。

二つ目は、信念を捨てて自分の娘たちを救おうとした牧師の願いは叶わず、娘たちは死んでしまったという物語。その時怪物は、頼まれても願いを叶えなかった人間を罰することなく、頼んだ牧師の方に罰を与えました。この話もコナーには納得がいきませんが、怪物は信念を貫くことが大切だと説きます。

二つ目の話を聞いてから、コナーは怪物とともに色々なものを破壊します。おばあちゃんが大切にしていた時計も、部屋の中のものもぐちゃぐちゃに。コナーは母親がいつ死んでもおかしくないという大きなストレスとともに生活していますが、発散する方法を知らなかったので、ものを壊すことはとてもいい気晴らしになったようです。

三つ目は、透明人間のように周りから無視されている状態に耐えられなくなった男が、怪物を呼んだという物語。この話を聞いた直後に、コナーは自分をいじめていた少年に殴りかかって大ケガをさせてしまいます。その少年から「これからはもうおまえを相手にしない。おまえは透明人間だ」と言われたからでしょうか。

コナーはその少年をいつもジロジロ見つめていて、わざと殴られたいと願っていたようでした。そのことを少年に指摘されたので、「自分は透明人間じゃない」とキレたのです。たしかにコナーは心の奥で殴られたがっていたのですが、その理由は、四つ目の物語を怪物に話したときに明らかになります。

怪物が話した三つの物語はどれも勧善懲悪でなく、見る人によってさまざまな解釈ができますが、個人的には次のようなことをコナーに伝えていると思います。

  • 善人と悪人の区別は曖昧なもの
  • 世の中にはいろいろな価値観がある
  • 主張しないことは存在しないことと同じ

怪物はこれらの物語を通じて、コナーを少年から大人へと成長させようとしたのでしょう。大人になると、善悪の判断がつけられないことが増えて、矛盾する気持ちを抱えて生きるようになるけれど、それは自然な成長の流れなのだと…。

そして、自分の気持ちを内に秘めるばかりでなく、吐き出すことはとても大切だということも…。

イチイの木は毒にも薬にもなる

映画に出てくる怪物はイチイの木が化けたものですが、イチイの木について知ると怪物の正体が見えてきます。

イチイの木は、北は北海道から南は九州まで日本全国でよく見られる木で、特に寒い地方では庭園や植え込みによく使われています。葉の部分を乾燥させると生薬になりますが、葉にはも含まれているので、子どもやペットはむやみに近づけない方がいいでしょう。

イチイの実は小さくて赤いもので北海道などでは「オンコの実」と呼ばれています。食べるとほんのり甘いのですが、果肉は問題なくても種が猛毒なので口に入れるのは危険かもしれません。人間の致死量は、種ならたった4~5粒程度なのです。

映画に出てくる怪物はイチイの木が化けたものですが、イチイの木について知ると怪物の正体が見えてきます。

イチイの花言葉は「高尚」「残念」「悲しみ」「慰め」などです。イチイの木は日本では神社のご神木としてまつられることも多いのですが、イギリスでは墓地によく植えられています。一年中青々とした葉をつけ、寿命が数千年に及ぶほど長いことから「魂の不滅、再生」を象徴する木として大切にされてきました。

「怪物はささやく」の舞台はイギリスなので、イチイの木に対する印象はそのまま怪物の正体につながりそうです。つまり毒にも薬にもなり、高尚で悲しみをもたらす危険な存在だが、同時に慰める力もあるのだと。

魂の不滅、再生を象徴するというのは、終活的には縁起の良い木ということになりそうです。「毒と薬」という相反する二つの効果が一つの植物に宿るとは、自然とは不思議なものですよね。

コナーにとって恐ろしい毒に感じられた怪物は、最後には薬となるのでしょうか。

原作者はこの物語をガン闘病中に書き始めた

「怪物はささやく」は、二人のイギリス人作家によって書かれた作品です。シボーン・ダウドという女性作家がガンの闘病中に原稿を書き始めたことがきっかけです。しかし登場人物と設定を決めて最初の部分を書いただけで、彼女は47歳という若さで亡くなってしまいました

その未完の原稿を、シボーンとは面識がなかったパトリック・ネスが引き継いで書き上げたのがこの作品です。パトリック・ネスはこの映画の脚本も担当していますので、映画は原作の世界観を忠実に再現しています。

この作品以前にも、二人はカーネギー賞を受賞していますので実力は確かなのですが、原作者がコナーの母親と同じくガンであったとは衝撃的ですよね。母親がガンで闘病している様子がとてもリアルなのは、こんなにも悲しい秘話があったせいかもしれません。

こちらが小説の紹介動画です。重苦しくて美しい作品の世界が見事に表現されています。

 

この作品を作家の終活の一つと考えれば、シボーンが成し遂げられなかった終活を、パトリックが完成させたとも言えるのではないでしょうか。

死を覚悟した母の言葉は「百年一緒にいたかった」

コナーの母親は、病院で新しい治療を試しますが効き目がありません。母親は残された時間がわずかしかないことを意識して、病室にコナーを呼んで言います。
「百年あったらいいのに」
「百年一緒にいたかった」

これを聞いたコナーは病室を飛び出して、墓地にあるイチイの木のところまで走ります。そして怪物を呼び覚まして「ママを治せ!」と泣きながら迫りますが、怪物は「ママを治すためでなく、おまえを癒やすためにここに来た」と言い、コナーに四つ目の真実の物語を話すように促すのです。

それからコナーは、毎夜うなされている悪夢の内容を仕方なく語り始めます…。

現実が辛すぎるときは、ファンタジーの世界に逃げ込んでもいいと思います。夢の世界から勇気をもらって、現実に立ち向かえるようになることもきっとあるはず。コナーは、大好きなお母さんとの最期をどのように過ごすのか…終活中の方にとっては、自分のことのように胸に突き刺さるに違いありません。

百年は無理だとしても、大好きな人とはできるだけ長く一緒にいたいものですよね。

「怪物はささやく」の作品情報

出演者:ルイス・マクドゥーガル(コナー)、リーアム・ニーソン(怪物)、フェリシティ・ジョーンズ(母親)、シガニー・ウィーバー(祖母)、ドビー・ケベル(父親)/監督:J.A.バヨナ/脚本・原作:パトリック・ネス/音楽:フェルナンド・ベラスケス/制作年:2016/制作国:スペイン・アメリカ/上映時間:108分/配給:ギャガ/
原題:A Monster Calls/公式サイト/(c)2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.

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